【R8】稲穂の波に包まれた時間——稲
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米は単なる農産物ではありません。嘉南平原において、世代を超え、長い年月をかけて育まれてきた文化の証でもあります。そよ風が黄金色に輝く田園を優しく吹き抜けると、たわわに実った稲穂が揺れ、一面に広がる稲穂の波は、まるで新港という土地が秘める豊かな生命力を語りかけているかのようです。南台湾の情熱的な太陽、嘉南大圳からもたらされる豊かな水、新港の田園を包む澄んだ空気、そして農家の方々による丁寧な手入れ。そのすべてが一体となり、新港を嘉義県における重要な米どころの一つへと育ててきました。そして、嘉義県を台湾有数の米の生産地、全国生産量トップ3に数えられる地域へとつなげています。

飛騨地域の稲作が一年に一度の収穫で、雪の季節が終わり、気温が上昇する5月頃に田植えを行うのとは異なり、新港は温暖な気候に恵まれているため、年に二期の稲作が可能です。第一期作はおよそ2月から6月にかけて行われ、収穫量も比較的多い一方、収穫期には台湾の梅雨と重なるため、農家の人々はわずかな晴れ間を逃さず、梅雨との競争のように急いで収穫を行います。
第二期作は7月から11月にかけて行われますが、気温が高く、台風や北東季節風の影響も受けやすいため、収穫量は比較的少なくなります。異なる季節ごとの気候の課題に直面しながらも、新港郷は長年にわたり嘉義県で米の生産量第1位を誇り、安定した、成熟した稲作生産力を示しています。

かつては、収穫量と品質が反比例する傾向がありました。そこで、米の品質向上を目指し、新港郷農会は契作制度を推進し、農家と協力しながら、品質基準に基づいて米を買い取る仕組みを整えました。これにより、農家がより丁寧な栽培管理に取り組むことを促しました。
農会と農家が力を合わせて取り組んだ結果、米の品質が向上しただけでなく、生産量もより安定するようになりました。そして、こうした取り組みから「新禾米」というブランドが誕生しました。新港の良質な米をより特色のあるブランドとして市場へ発信し、多くの消費者の注目を集めることで、地域農業の発展を支える重要な成果となっています。

飛騨市は、2017年に新港郷と友好都市協定を締結した後、2018年に「飛騨誉」の酒米の種籾を新港文教基金会へ送りました。基金会が長年培ってきた自然農場での経験を生かし、自然農法によって栽培・収穫された稲を精米し、飛騨へ送り返しました。そして、飛騨市で生産された「飛騨誉」の酒米と合わせ、古川で長年親しまれている渡辺酒造店にて醸造。こうして、新港と飛騨、両地域の友情を象徴するお酒が誕生しました。
伝統的な米づくりだけでなく、新港郷農会は台湾で有名なお菓子メーカー「乖乖」ともコラボレーションし、地元で生産された米と、地域の契約栽培による非遺伝子組み換えの青仁黒豆を組み合わせた、地域限定商品「佃煮黒豆米乖乖」を開発しました。サクサクとした食感の生地に黒豆の濃厚な香りが広がり、甘さと塩味のバランスも絶妙な味わいに仕上がっています。発売されるとたちまち好評を博し、多くの消費者がその味を求めて訪れるほどの人気商品となりました。
飛騨市の皆さんも、新港を訪れる機会があれば、ぜひ新港郷農会の販売部に立ち寄ってみてください。新港ならではのおいしさを、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

台湾では、米は食卓に欠かせない主食の一つであり、私たちの暮らしの一部でもあります。朝食にはおにぎり、昼食には嘉義名物の火鶏肉飯、夕食には炒飯専門店のチャーハン。そして端午節には、竹の葉で三角形に包んだ具だくさんの米料理「中華ちまき」や、伝統的な米糕(ミーガオ)など、さまざまな行事食にも米は欠かせません。
一杯の香り豊かでもちもちとしたご飯には、土地の恵みが詰まっているだけでなく、台湾の食文化や、家族と過ごした思い出までもがつながっています。

台湾と日本には、どちらも非常に豊かな米食文化があります。料理の方法はそれぞれ異なりますが、そこには土地への愛情と、農家の方々への敬意が込められています。
新港と飛騨もまた、米づくりを通じて地域の文化を育んできました。そして、共通する農耕の記憶があるからこそ、両地域は人々の暮らしや土地への想いにおいて、より深く響き合うことができるのだと思います。
これからも交流を重ねることで、米を通じて結ばれたこの友情が、歳月とともにますます深まっていくことを願っています。




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